こちらでは「仏教にまつわるちょっとした話」について書かせていただきます。小ネタにどうぞ。
仏教を開かれましたお釈迦さまはインドの釈迦族の国王の息子として生まれられました。そして、29歳で出家され、6年間修行されて35歳でさとりを開かれました。その後、45年の間、仏教の教えを説いて回られて80歳で亡くなられます。
お釈迦さまが亡くなられてから400年ほど経った頃、お釈迦さまの神格化がはじまります。29歳から35歳まで修行をされたお釈迦さまは、前世以前においても慈悲深い良い行いをされ続けていたから、この世でさとりを開くことができたのだ、という前世物語「ジャータカ」が誕生しました。
その前世物語の一つに次のようなお話があります。ある森にウサギ(お釈迦さまの前世の姿)が住んでいました。正しい生活をしていたウサギを天界から見ていた帝釈天は、ウサギを試そうとバラモン(ヒンドゥー教の司祭者)に姿を変えて現れ、「何か食べ物を施してほしい」とウサギに言いました。いろいろ探したが食料を入手することができなかったウサギはバラモンに火を起こすように頼むと、自ら火に飛び込んだのでした。ウサギは我が身を食事として差しだそうとしたのでした。
帝釈天は正体を明かしてウサギを助けた後、その徳を伝えるため、ウサギの姿を月に描いたといわれます。