令和3年度6月永代経法要

当初、5月22日23日で予定しておりました永代経法要ですが、1ヶ月延期し、6月22日(火)23日(水)の2日間、お勤めさせていただきました。両日共に、午後2時より『仏説阿弥陀経』のお勤めをし、その後、約40分間、中央仏教学院講師、浄土真宗本願寺派総合研究所研究員の西河雅人先生にご法話をしていただきました。

兵庫県におきまして新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は解除となりましたが、阪神間におきましてまん延防止等重点区域となっていましたので、原則として、22日はJRの線路よりも南側にお住まいの方に、23日はJRの線路よりも北側にお住まいの方というように、地域を分けて参詣していただきました。参詣者の方々にご協力をしていただき、22日・23日ともに約20人のお参りでした。

  NHKの「チコちゃんに叱られる!」という番組で紹介された『お経ってなに?』、お経をあげる意味やそもそもお経とは何なのか?を導入としてお話してくださいました。その番組では、お経の内容は、主にお釈迦さまから生きている人たちに向けたのメッセージと言われます。お経は決して亡くなった方のためのものではなく、周りで聴いている生きている人たちのためのもの。中身は「美しい仏の世界」「未来の予言」などが含まれている場合もありますが、その内容は主にお釈迦さまからの生き方についてのアドバイス、ということ。

 そもそもお経は紀元前5世紀ごろにインドで最初に誕生したといわれていて、そのお経の元になる教えを説いたのはブッダとも呼ばれているお釈迦さま。お釈迦さまは裕福な家庭の子どもでしたが、生まれてから一週間で母と死別した事もあり、その後どんな人にも必ず老いや病気や死が訪れるという世の中の現実を見て苦悩するようになられます。そして29歳の時に家を出て修行。お釈迦さまは断食などの様々な苦行や深い瞑想修行などを通して35歳の時に菩提樹という木の下で悟りの境地に入られました。

 どんな悟りを開かれたのか?ということは悟りの表現によって色々あるものの、代表的なものが「三法印(さんぼういん)」と呼ばれる内容です。三法印とは、諸行無常 (しょぎょうむじょう)、諸法無我 (しょほうむが)、涅槃寂静 (ねはんじゃくじょう)の3つの教えのこと。

諸行無常は、この世のすべてのモノは生滅変化していくということ。

諸法無我は、この世のすべてのモノ(人間も含めて)は決して変わることがないモノをもたないということ。

涅槃寂静は、自分勝手な欲望や憎しみなどの思いを無くすことで苦しみが消えて楽になれる(安らかな状態になれる)ということ。

 お釈迦さまは80歳で亡くなりましたが、生前残された教えを後に弟子たちが文字にしてまとめたものがお経。そのうちどのお経を拠り所にするかによって色んなグループに細分化。それが現在の日本でいう所の浄土宗、日蓮宗、真言宗などの宗派となるのです。

 以上長くなりましたが、番組での内容も含め、お経の成り立ちとその内容について書きました。

 法事となりますと、故人の追善供養として、つまりお経をあげるという善を、故人に縁のある者が、その故人のために追っておこない、供養する、菩提を弔うと思いがちですが、浄土真宗においては、故人のことは阿弥陀さまにおまかせし、お経の本来の意味のように、私たち生きているもののメッセージとしてお経をいただいていくことが大切です。それならば、法事は勤めなくてもいいのか、と思われるかもしれませんが、法事をお勤めする意味は、故人をお偲びするということ、また、生きている私たちを救っていただくのは阿弥陀さま、いろいろとかたちや方法(手段)を変えて私たち生きているものを導いてくださるご先祖(故人)に対して御礼を申しあげる意味があるのです。