納骨と墓(1)

納骨の時期

遺骨をお墓に納骨する時期は、地方の風習や家庭の事情などさまざまで、いつまでにといった決まりはありません。葬儀後すぐに納骨してしまうところもあったり、四十九日(満中陰)の法要が終わってからとか、百ヵ日や一周忌法要の後におこなったりします。日の吉凶などは関係ありません。

 納骨のさいには、前もってお墓をきれいに掃除しておきましょう。お墓がなくて、これから求めようとする場合、短期間であれば、仏壇の脇に安置しておいてもかまいませんが、家庭の事情もあるでしょうが、なるべくはやく納骨をすませるべきです。なお、納骨するときは火葬許可証が必要となります。公営や民営の霊園などに納骨するときは霊園の管理者に、お寺に納骨するときは住職に渡します。

大谷本廟(本山)への納骨

 遺骨のうち、胴骨(大きい方)は中陰のあと、なるべく早い時期にお墓に納めるようにしますが、本骨(小さい方)は、宗祖親鸞聖人の墓所である御廟(ごびょう)に納骨するのが真宗門徒のたしなみとなっています。

 分骨は、釈尊の死を悲しみ、その徳をしのんで弟子たちが釈尊の遺骨(舎利)を分けて拝んだことが、その起こりだといわれています。

 本山への納骨は、念仏の流れが子々孫々と伝えられていくにしたがい、いつか、亡き人を宗祖親鸞聖人のおそばに葬ってあげたいという強い思いと、聖人の徳をしのぶとともに、同じ場所で亡き肉親や先祖への感謝の思いをたしかめたいという気持ちからはじまりました。ですからどのような遠方からでも、門徒であるなら自分の家のお墓とは別に分骨して納骨するのがならわしとなっています。

 本願寺派(お西)は西大谷本廟へ納骨します。願主が直接、故人の分骨を持参して納めるようになりますが、事前に住職から納骨の申込み書をもらってください。本廟の場所についてもわからない人は住職にお尋ねください。

お墓とは

 お墓とは亡き人が静かに眠る場所だと思わていますが、真宗の教えでは亡き人はすでに浄土に往生されておられるのですから、お墓のなかにとどまっているはずはありません。お墓は死者の眠る場所ではなく、あくまでも遺骨を納めているところなのです。

 親鸞聖人自身は、遺言のなかで、「それがし、閉眼せば加茂に入れて魚にあたうべし」とのべています。仏教の本義からみて、なにものにも執着すべきではないことを誡(いまし)められたものであることはいうまでもありません。

 浄土真宗のお墓というのは、ご本尊阿弥陀如来様のおはたらきによって、浄土に往生されたご先祖 つまり、阿弥陀如来とご先祖のお徳をしのぶために建立されるものです。

お墓を建てる時期

 お墓は、いつまでに建てなければならないという決まりはありません。一般的には、満中陰(四十九日)や百ヵ日、一周忌、三回忌などの法要にあわせて建てる人が多いようです。しかし、これも別に決められているわけではありませんので、家庭の事情に応じて建てればいいでしょう。

 お墓を建立するさいは、お寺や墓地の管理事務所への手続きが必要になりますし、墓石や墓碑の建立の工事には、石材の選定、加工からはじまって、文字の彫刻もしなければなりません。そのため、基礎工事からでも最低一ヵ月以上かかりますので、その点をよく考え、石材店に申し込むようにします。

 墓地を購入するということは、土地を買うことではなく、その墓地の「永代使用権」、つまり「墓地を永久に使用する権利」(墓地使用権)を買うということなのです。そして、その墓地使用権は子どもや孫など代々受け継ぐことができます。つまり、墓地購入者が亡くなり、その墓地購入者の娘さんであっても(姓が異なっても)墓地使用権を受け継ぐことができるということになりますが、お墓の継承には霊園ごとの使用規則をかならず確認してください。